いすゞがジウジアーロ氏に依頼した2+2クーペ。イタルデザインは70年代初頭からAsso di Picche(スペードのエース:アウディ80のランニング・コンポーネンツを使用)、Asso di Quadori(ダイヤのエース:同BMW 320)と量産車につながるコンセプトカー、Assoシリーズを生み出してきたが、その集大成となったのがAsso di Fiori(クラブのエース:いすゞ・ピアッツァ)だった。ウェッジが基調の2ドアファストバックのプロポーションは余計な装飾を排除したクリーンさが際立ち、今見ても新鮮。インテリアデザインも時代を先んじたもので、デジタルメーターやサテライトスイッチを採用している。ヨーロッパ車より美しい日本車の最右翼と言える。
ランチア・デルタ(1979年デビュー)
Asso di Piccheはアウディ80をベースに制作されたプロトタイプだったが、後年そのデザインが進化して生まれたのがランチア・デルタだったことは興味深い。エッジの立った四角いフォルム、先端から後端まで一直線に伸びる水平のキャラクターライン等、共通部分は多い。フィアット傘下に入ってランチアらしさを失いつつあった名門に、エレガントでスポーティ、技術的にも先進性の高いブランドイメージを取り戻させるのが狙いだったと語る。デルタはもちろんその後WRCの世界で大活躍を遂げるが、81年にその4輪駆動モデルのプロトタイプを製作したのもイタルデザイン・ジウジアーロ氏だったという。
2020年ジュネーブショーでデビューする予定だったバンディーニ・ドーラだったが、コロナ禍によってショー自体がキャンセル。オンラインで発表されるにとどまっていた同車が、AUTOMOBILE COUNCIL 2025に現れた。バンディーニは1946年創業のイタリアのスポーツカーメーカーであり、92年に一旦命脈を閉じたものの、現在ジウジアーロ父子が腕をふるうGFGデザインと手を組んでドーラを生産することで、再スタートを切ろうとしている。バンディーニのDNAはライトウェイトのバルケッタであり、EVとして甦ったドーラのデザインもその延長線上にある。総出力536psのツインモーターが前後に収まり、0-100km/h加速約3.3秒を実現。